2014年3月2日日曜日

シロとのこと。






シロとの出会いは小3の春の学校帰り。


首輪はつけておらず、
からだは煤やなんかで汚れていて
くっつき虫(草)をシッポにいっぱいつけていた。


おいで~って呼んだら逃げていく。
でも、歩き出したらついてくる。
振り向くと逃げる。
歩き出すとついてくる。

そんなかんじで家の近くまできてしまった。


近づけないから
コッペパンを置いて帰った。



次の日、
その近くにシロはいた。

また後ろをついてくる。
学校までついてくる。

放課後、探しても見つからなかった。
でも、やっぱり帰り道には現れて
また、コッペパンを置いて帰る。


ばあちゃんには、
犬は飼わんって言われてた。
先に逝くのを見るのがツライからと。


コッソリご飯をあげていたけど
やっぱりばあちゃんには見つかって
怒られたけど、
ばあちゃんもコッソリ残ったご飯をあげていたのを
あたしは知ってた。

その頃には
もうシロを触ることはできたし、
シロも、あたしの家の周りで生活していた。


洗ってあげたら
まっしろだった。

安直な『シロ』って名前は
誰がはじめに言い出したんだっけなぁ









シロは『お手』ができた。
『おかわり』も『待て』も。


父さんがいろんなとこを聞いたり問い合わせたけど
探してるようなことはなかった。


とても田舎な山の中なので

きっと捨てられたんだろう、と。。。。


野良犬のシロは、もう立派な成犬だった。

最初は、首輪なんかつけてなかったけど、
必ず母屋の勝手口の横にいて、
窓から名前を呼ぶと走ってくる。


学校にも一緒に行った。
でも、校門からは入ってこない。

シロは賢い子だった。

学校が終わって帰っていると、やっぱりシロはやってくる。
一緒に帰って
ランドセル置いて、
段々畑の一番上でお菓子を食べた。


さすがにつないでないと、もしもの時にアレだからと、
初めての赤い首輪。
じいちゃんが作った犬小屋。


もう、学校に一緒には行けなくなって
あたしが学校に行こうとすると
ずーっとキャンキャンと鳴いてた。
見えなくなっても、長い間鳴いてた。




兄ちゃんとケンカしたら
父さんに怒られたら
シロといつも家出した。

シクシク泣いてたら
立ち止まってこちらを見る。

グイグイひっぱっていくのに
暗くなると、『家に帰ろう』とグイグイひっぱる。


夏は一緒に川に。
川に入るのは苦手だったみたい。
秋は栗と戦って
鼻に棘が刺さって飛び上がってた。
冬は雪で遊んだ。
雪みたいにまっしろなシロは
遠くから見たら、まっ黒な目しかわからない。
シロは雪が好きで、
歌のとおり、喜んで駆け回ってた。





小6になり、
引っ越しが決まった。


シロは連れていけないと言われた。

環境を変え、
夜にしか人がいない家にシロだけを残すのはかわいそう、と。



あたしらもいなくなって
シロまでいなくなったら、
この家に残るばあちゃんとじいちゃんは
ほんまにさびしくなると思う、と言われ


シロと離れることになった中1の春。



毎日淋しかった。
知らない土地。
知らない同級生。
新しい制服。
新しい自転車。
自分だけのきれいな部屋。
何もかもが嫌だった
あの家に帰りたかった、
シロに会いたかった。
ばーちゃんに会いたかった。



友達ができ、部活が始まり、
生活に慣れてくると、
自分のことでいっぱいいっぱいになった。
週末に、山のばーちゃん家に帰ると、
シロがシッポをめいっぱい振って、、、
帰る頃には、キャンキャンと鳴く。。。





ばあちゃん家に行くたびに
シロの老いを感じた。
ばあちゃんの老いも。

あたしもさびしかったけど、
きっとシロも、ばあちゃんはもっとさびしかった。

なんだってそうだ。
置いて行かれる方が悲しいし苦しいんだ。
あの時は、わからなかった。


だからシロだけを連れて行きたいだなんて
そんなわがままは言えなかった。


あたしは、ばあちゃんもシロも、
とてもとても大事だったから。




ご飯をあまり食べなくなった。と、

散歩しても、
もうグイグイひっぱることがなくなって
走るよりも、歩くことが多くなって
重たいからだを持ち上げるように進むようになった。



まっ黒だった目は濁って
耳が遠くなって
近くまで行かないと
あたしのことがわからなくなった。


鳴くことが極端に少なくなり、
小屋から出ることも少なくなった。



雪が降っても
見上げるだけで
からだに雪が積もるだけになった。






高1の冬に、シロは永眠した。
ばあちゃんが癌になった。



あたしは、シロの最期を見てない。




ばあちゃんとじいちゃんが看取ってくれた。


シロは、恨んでいるだろうかと
今でも思う。
裏切られた、と思っていただろうか。


たくさんたくさん考えて出した決断だったけど、
できる限り、ばーちゃん家に帰るようにしてたけど
そんなの、シロからしたら関係ない。
人間の都合なんて、関係ないんだ。。。



一度繫がったなら
二度と離しちゃいけないんだ。

変わっちゃいけないんだ。



今ならもっとシロの為にできることがあったと
わかるのに。



シロはいつでも100%の気持ちをくれた。
毎日変わらず、いつも変わらず、
慣れたり、飽きたりせずに。






先に逝くのを見るのをツライと言ったばあちゃんは
シロがいなくなってやっぱり元気がなくなった。
癌のせいかもしれない。



ばあちゃんがいなくなってから
じいちゃんの元気がなくなった。
歳のせいかもしれない。


でも、
きっと大事なものが消えちゃうというのは、
心だけじゃなくて
からだにも負担がかかるんだな。



目に見える、悲しい、のサイン。


だから、シロの老いも
きっと時間だけのものじゃなかったんじゃないかって。。。










書いてるうちにいっぱい思い出して
ごめんねでいっぱいの夜。。。







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